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読まれ、演じられ、そして踊られる・・・「兵士の物語」

兵士の宝物、心のよりどころのヴァイオリンと、欲の権化、悪魔が持つ本のお話。

ロシアの民話とはいっても馴染みは薄いので、先ずは分かりやすい物語に変えるための脚本を手掛けた頃はまだ暑い夏だった。が、季節はすっかり初冬、ロシアの厳寒ほどではないものの暖冬になれた体に沁みる寒さはどこかこのストーリーに似ていると感じないではいられない朝を迎えた。
ドラマ、アート、ミュージック3つの工房が初の共同制作をする公演準備は整い、出演者、スタッフの挨拶もどことなく緊張感が漂う。
それでも、受付、会場ともに、3工房のディレクター、サポートスタッフの皆さんが勢ぞろいすると頼りがいのある安心感に繋がり様相は一変した。
さあ、お客様のお出迎え!

第一部
始まりは、オーケストラアンサンブル・金沢のメンバーによる、バッハの「2声のインヴェンション(全15曲)」。そもそもは練習曲、それもピアノの。
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それをヴァイオリンとコントラバスでやろうという趣向だ。終わるとビブラフォンが加わって、ピアソラのミロンガ・アン・レ。オブリビオン(忘却)では、管楽器も揃ってストラヴィンスキーの「兵士の物語」の布陣7人全員登場して、世界的にヒットした切ないメロディを奏でて2部へと誘う。

第二部
いよいよストラヴィンスキーの「兵士の物語」。客席に向って構えた兵士の銃から切り裂くような銃声が響くと始まり、始まり・・・、演奏と朗読が心地良く絡み合って見聞きするものを引きつける。
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悪魔は絶妙の誘いで兵士を翻弄し、臆病な心を弄ぶ。何度も重ねた稽古で呼吸は充分、ナレーターに誘引されるお話に王女が絡み現代とも交錯する展開にしてある。




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深層を表すのは高く吊るされたオブジェで、モノトーンの立体が渾身の照明を浴びて妖しく心理を描写、色の変化はとことん観るものを魅了する。あるときは激しく、あるときは冷めた閉ざされた色合いで。後半の3つの舞曲からはバレエダンサーも加わり、引き籠った心を解そうと「救うのは、幸せをもたらすのは音楽!」とばかりに華麗にタンゴ、ワルツ、ラグタイムを舞う。
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束の間の穏やかのあと、再び兵士と悪魔の熾烈な闘いが始まり、物語は一気にクライマックスへ・・・。


勝ったのは兵士、それとも悪魔?勝敗は観る人によってさまざま、取りようもさまざま、感じたままの世界を投げかけるようにして、悲鳴と高笑いが会場に広がる。
お越しいただいたお客様の、どこか心の片隅に置いてもらいたいと思うのはたくさんの教訓めいたキーワード、謎のままに終わるもよし、分からないのもよし、意図は受けた皆さんのものになるのだから・・・。

長い稽古、体を張ったオブジェ制作と共同制作は日々時間と都合の闘い。ホッとするのも束の間、直後のディレクター会議で来年からも継続して企画することが決まった。今度はアート工房が中心となって。
たぶん、決め台詞は「救うのは美術、幸せをもたらすのはアート!」ということにでもなるのだろうか・・・。

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ミュージック工房ディレクター・工藤文雄

by artvillage | 2007-11-28 22:58 | ミュージック  

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