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アートアンツリーダー養成講座③

 2009年3月23日(月)19時~21時に、里山の家にて、アートアンツ対象のレクチャー「教育大学における造形活動の実践~子どもワークショップについて~」が開催されました。
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 現在、上越教育大学で教鞭をとられている高石次郎先生に、小学校で実際に行われている「造形遊び」という授業について講義して頂きました。
 まずは、現在の美術教育に「造形遊び」が導入された背景について、教えて頂きました。


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 次に、「新聞紙でつなごう」、「海のもので遊ぼう!ぺったんこカンカン!!」という、新潟の小学校の授業で、実際に行われた「造形遊び」の授業の詳細な観察レポートを通し、「造形遊び」の効用、効果とも言うべき、授業中に見られた、子供達の変化について、わかり易く、講義して頂きました。
 
 
 紙面の都合上、その詳細にまで触れることは出来ませんが、講義の中で高石先生が語られた、「造形遊び」のキーワードと思われる言葉を、いくつか、ご紹介させて頂きます。
◎「人の作品か、人の作ったものに触発されることが学びであり、それが充実感になり、生きる力にも、なるのではないか。」
◎「人の作ったものに触発されて、次に自分が、そこに何かを付け加えていくことが、おもしろい。遊びも同じではないか。」
◎「隣の生徒のやっていることが面白かったら、それを取り入れて、やっていいんだよ、という教育。それを意味生成活動と言っています。人間って、何かを見て、感じて、今までの考え方が、少しズレる。そのことを大切にしようということ。」
◎「自己と他者というのがありますが、自己って何だろう?それは、他者からの影響によって、つくられるものではないでしょうか?ということは、他者からの影響が、たくさんあった方が、自己が立ち上がってくるのではないか?他者からの影響や関係がないと、自己なんて、あり得ないのではないか?」
◎「『人って、状況や環境によって、つくられていくよね。』が、造形遊びの根っこです。だから、ますますコミュニケーションが大切になってきます。」
◎「本当に子供達が、いい影響の与え合いで、盛り上がった授業のあとでは、ちゃんと、後片付けをするんです。(ということは子供同士の、いい影響の与え合いを、モラルの発展にも使えるのではないか。)」
◎「(『造形的な遊び』の誕生に大きく関わった)西野範夫先生は、本当は、人間性の回復を学校全体で目指したかったが、実際は、図画工作と生活という科目でしか、それを取り入れる隙間が無かった。」
◎「図画工作の授業は、国語、算数、理科、……の並びではなく、それらの底辺を支えるような形で、存在すべきではないかとも思います。」
  
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 高石先生の講義は、教育に携わる人達にのみ、向けられたものではなく、誰が参加しても、興味をそそられる内容のものであったと思います。
 現代アートにおいても、盛んに「参加型の…」と言われます。しかし、そこでは何のための「参加型」なのかが、問われずに終わっていることも多いように感じます。人が多く関わることで、今までと何が違ってきたのか?「本当の自分探し」が行き過ぎると、極端に他者からの影響を恐れ、拒む、ようになる場合もあるようです。そのことに対する、反動と警鐘という意味で、「参加型の…」が多くなってきたのでしょうか。
そういうことにも、関わってくる講義内容で、大変おもしろかったです。
                                     文 アートアンツ 渡部 匡人
                             写真・構成 アート工房ディレクター 渡辺 秀亮

by artvillage | 2009-04-11 16:08 | アート  

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